法 話
追善廻向の意義
私達人間生活を一本の樹に例えれば、根は先祖、幹は主人、枝葉は主婦、花や実は子孫ということになります。
根は地下にあって肉眼では見ることが出来ませんが、根あっての樹です。
幹や枝葉に肥料を施しても樹は大きくならず、又美しい花も咲かず実もなりません。
私達人間生活もこれと同様で先祖を忘れ、いたずらに現実主義に執われるということは、
幹や枝葉に一生懸命肥料を施していることになるのです。
しかし樹を育てるには、太陽の光を摂取したり病害虫を駆除したりすることも又大切なことです。
幹・枝葉が行うこれら作務は私達一日の活動であります。そうして年忌法事や朝夕の一時、静かに仏前に 手を合わせ、感謝の誠を捧げ一日の反省をすることが、根に肥料を施すことになるのです。
追善とは、死者の冥福を祈って仏事などを行うこと。
廻向とは、自分の功徳を他人のために振り向けること。
読経や念仏などの仏事によって死者の霊が成仏するように差し向けること。